第二期 第3回京都クオリア塾 / 平成28年12月17日
第3回は日本料理のグローバル化に取り組む木乃婦3代目主人で、日本料理アカデミー海外事業副委員長、京都料理芽生会会長などを務める高橋拓児氏がスピーカー。高橋さんは冒頭堺のねじ会社が作ったとされるステンレスの包丁を紹介しながら「硬度が強く柔らかく、従来の包丁を超える機能を持つ」と評価した上で、グローバル化に向けた日本料理の対外戦略について語り始めました。JETROの食べたい料理のアンケートで、日本料理がNO1となり、10年前にはダントツの1位であったフランス料理が懐石料理をまね、料理が軽くなった結果ワインも年代物からの転換が進んでいる。ヨーロッパの有名処も全て日本料理の研究をしており、日本料理は世界の料理の先頭に立つ潜在能力を持つ、と実感できるようになった。科学データから発案する西洋料理に対して、日本料理はテクニカル分野のデータを科学で裏付けを取りながら解決してきたことが高い評価に繋がったと思っている、とこの10年を振り返りました。
また、日本は歴史を経たモノを評価するが、守るだけでなく発展的に考えることが重要であり、再現性を含め西洋の思想は学ぶべきもの、と話しながら、2年後には更に美味しい料理を味わってもらえる、オーナーシェフは本田宗一郎と同じように「常に革新的でなければならない」と語りました。科学的な視点で料理を創り、日本料理の特徴を科学的に論述する、これが国境線を超えグローバル化に成功した、と分析しました。
今や日本人の生活体系と分離してしまった日本料理だが日本の本質そのもの。時代ニーズに合わせる上でもモノの本質に触れ、表面的に見えるだけでなく、3次元の情報を組み合わせながら思考の連結力を高めることが重要と語りかけました。
続いての文化体験、京町家を代表する小島邸で、この春裏千家の茶命を取得しお茶を通じて日中の交流を深める歐陽國樑さん、バチカンの弁護士資格を持つという中国人のお点前で抹茶体験、そして最後に、生活文化財修復研究所の小石原剛さんの指導で金継体験をしました。欠けたお皿が金継により世界で唯一のマイ皿となりました。日本の文化に触れ、学んだ一日でした。
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クオリア京都とは?
人間ひとりひとりの深く高質な感性(クオリア)に価値を置く社会、これは各人の異なる感性や創造性が光の波のように交錯する社会ともいえます。
京都からその実現を図ろうと、各種提言や調査、シンポジウムなどを開催した京都クオリア研究所ですが、2018年に解散したため、㈱ケイアソシエイツがその精神を受け継いで各種事業に取り組んでいくこととなりました。
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