第六期 第3回京都クオリア塾 令和2年9月19日
ハナムラさんは、ランドスケープデザインやコミュニケ‐ジョンデザインの研究とともに、空間アートの制作やインスタレーションなど多彩な活動を続ける研究者。まず《視点=人のまなざし》をデザインすることで風景は変えられるという“風景異化”の考え方を示し、身体の状態、そして心の状態を変えれば、新しい関係性が生まれいつも見慣れた風景も新しい風景になる、と塾生に日常のまなざしの固定化を突きつけます。
病院の吹き抜け空間を利用したインスタレーション「霧はれて光きたる春」では、患者や医師、看護師という役割の中で固定化されていた関係性が相対化され、固定化したまなざしをデザインすることで、新たな見方をつくることができた。まなざしを意味や価値に置き換えると、意味や価値を“つくる”のがデザイン、“壊す”がアートで、この循環をつくることが大切と語りかけました。まなざしをデザインすることにより、世界の見方を変えることができるのであり、これは日本に伝わる「見立て」と同じ、と続けます。
そして、職場でも家庭でも演じ続けている現代人だが、物事に囚われて思考停止に陥るのではなく、自らのまなざしをデザインすることで発見したり疑ったり、何かを見出だしたりしながら、「精神の美学」を育てることが必要ではないか、とコロナ後を見据えこれまでの価値の転換を強調されました。
塾生からは従来の目標設定と解決策を変えるための具体的方策や、モノの見方を変えるにはどうしたらよいか、そのためのプロセスはなどの質問が相次ぎ、変わらなければならない自分に対しての多くの刺激を受けました。