京都クオリア塾/クオリア京都
第十一期 第4回京都クオリア塾 令和7年9月7日
第4回 2025年9月7日(日)
「AIの拓く生成科学」
橋本 幸士(京都大学大学院理学研究科教授)
ChatGPTをはじめとした生成AIが驚くべきスピードで生活や仕事に浸透している今、AIと人間との関係の再整理が求められています。2024年のノーベル物理学賞はAI関連の研修者ホップフィールド氏が授賞、脳のニューロンを量子で記憶・想起させたと理論物理学がご専門の橋本京大教授は語ります。そしてニューラルネット関数はデータで最適化され、「AI×物理学」の研究が急速に進展、生成AIを量子力学で解釈するなどの統合が進んだ。
2024年頃からは論理能力を獲得したChatGPTの出現により、物理学は生成AIとの共同研究時代に突入した。今年は量子力学が誕生して100年という記念の年だが、数年後にはAIと物理学が統合するだろうと語ります。
京都学派として知られる湯川秀樹や西田幾多郎など数多くの物理学者や哲学者を育んだ京都、時代はこれまでの「AI対人間」から「AIと自然科学・人文科学の融合と生成」へと変わる。物理の観点からいうと、世界の仕組みを物理が考え、それを展開するのがAIとなる。橋本教授、歴史ある京都から生成科学の未来を創ろうと呼びかけられました。
この後、AIとの関係についてそれぞれが抱えている課題などを出し合いながら、意見交換を行いました。仕事の定義とは何か、AIは生産性を上げるがイノベーションの面ではどうか、子供たちの教育、AIとポピュリズムの関係等々多岐にわたりましたが、このAI問題も長期的な視点で考えることが大切、と橋本教授は強調しました。アニメ「エヴァンゲリオン」や映画「オッペンハイマー」の監修なども務められた橋本教授の分かりやすいお話からあらゆるジャンルの縦割りからの脱皮も教えられた研修でした。