京都クオリア塾/クオリア京都

 


 

 


 

第九期 第4回京都クオリア塾  令和5年9月16日

 

    4回                  2023年9月16日(土)

 「アートとは何か?美術工芸でたどる日本の近代化」

                 前崎 信也(京都女子大学生活造形学科教授)

               

近現代における日本工芸と海外との関係をテーマに展覧会の監修や工芸データベースの構築など幅広い活動を続けられる前崎教授、まずエリートが求める文化・芸術の価値についてこう語ります。詫び寂をつくった千利休は数を限定し価値のないものに価値づけをした。豊臣秀吉の黄金の茶室と真逆の発想で、現実逃避ができる静かな人里離れた「場」を求める権力者に対して、不完全な茶道具が手に入りにくいという構図をつくり日本人の美のカタチを作り上げた。また時代は変わるが、前澤友作氏がバスキアを62億円で落札、その後110億円で販売したニュースは記憶にあるかと思う。オークションで競り勝った前澤氏は知名度を一気に上げステータスを高めた。人が関わるものは全てアートと言い切る前崎教授、日本でもアートファンを拡げないと、アーティストが食べていけないと指摘されます。

 

 1873年に国家予算の半分を投じて参加したウィーン万博では近代技術に衝撃を受ける一方、ジャポニズム旋風を捲き起こした。私の専門はやきものだが、京焼は粟田口で始まり、寺院などでもつくられ、仁和寺で窯を持った野々村仁清が清水焼の始まりだ。京都は幕末の大火、そして東京奠都で疲弊し、内国博覧会の開催や舎密局の設立などを通じて産業振興に努める。明治末には市立陶磁器試験場を設立、浜田庄司から釉薬を、浅井忠からデザインを学ぶなど、東京から数多くの研究者を招いた。明治初期の振興策が今に伝わるのだが、工芸もアートであり、次代を創るアーティストを支援する取り組みを今後も続けていきたいと結びました。

 

 この後のクオリアカフェでは、私たちがアートとどう向き合い京都の風土をどう活かすかをテーマにグループディスカッション、塾生からは企業も変革を求められており、ベースラインをしっかりして、機能だけでなく記憶が残り世界をめぐる価値の創出を大切にしたい、という報告がありました。

 前崎教授は、伝統はここ100年から200年に創られたものであり、時代に合わせて変わっている。芸術はコンセプトであり、それに技術をどう加えるかで、アートは社会と繋がっている。自分との関係性からアートを選び楽しんで欲しいと語りかけました。

 

 修了後、京都市下京区の徳正寺に会場を移し、煎茶一茶庵摘承の佃梓央さんから、江戸末期に流行った煎茶、その中でも文人茶を愉しみました。抹茶とは異なる自由さに塾生たちは、これもお茶なのかと驚きの表情をみせながら茶文化に触れるひとときを過ごしました。

 

 

第九期 第4回京都クオリア塾  令和5年9月16日の画像 1

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