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第九期 第3回京都クオリア塾  令和5年7月15日

 

    3回                  2023年7月15日(土)

    「能”という情報空間と身体表現」

                            安田  登(下掛宝生流ワキ方能楽師)

               

4年ぶりの祇園祭宵々山に開催された第3回は能楽師の安田登さんを講師に迎えました。能の発生は未詳だが世阿弥は「夢幻能」の完成や古典の立体化、「風姿花伝」などの芸術論を多数手がけ、天才に依存しないシステムを構築した。そしてエンターテイメントで求められる装置や照明を使わないコストカットの方法を生み出した。また伝統と初心忘るべからずの精神は、トップマネージメントの芸能として、足利将軍、信長や秀吉などの戦国武将、徳川将軍に愛された。安田さんは「定家」や「敦盛」の一説を紹介しながら650年も続いた理由をこう紐解かれました。

 

そして歌枕を辿る「高砂」を例に、情報空間としての「歌枕の『枕』」は神さまを閉じ込める、即ち記憶を集積した場所で、5代将軍徳川家綱の六義園の庭園にある石柱を訪ねながら和歌を思い浮かべると、音が聞こえたり香りがしたり能の謡が出てくる。脳内ARが発動するのです、と語られます。

 

メタバース(仮想空間)と能、主語がなく筋もない、そして多次元的に問う。新たな問題の陳述方法と言え、これらは次代に向けての「初心」となるのではないか。楔形や甲冑文字の発生から、時間やこころ、論理、契約、死などの概念を改めて学ぶことが大切では、と結ばれました。

今回はサプライズとして安田登さん、夏目漱石の「夢十夜」の第3夜を金沢霞さんの琵琶演奏で演じてくださり、塾生から大きな拍手が送られました。

 

この後能のテーマである鎮魂と未来をどう予測するかをテーマにした対話を塾生間で行い、これを受けて安田さん、文字が生まれ論理思考となったが、生成AIの誕生でデジタルのアナログ化の可能性が生まれた。文字が生まれ、女性の時代が男性の時代となったが、再び女性の時代となるのではないか。温故知新をテクノロジーベースで変えることが今こそ求められる、と強調されました。

生成AIと能との関係、もっともっと学ばなければと刺激を受けたのは勿論、日本の古典を見直す機会をいただきました。

 

 

第九期 第3回京都クオリア塾  令和5年7月15日の画像 1

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