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第六期 第2回京都クオリア塾 第2部 令和2年7月18日

 

第2回
「工芸史からみる日本の世界戦略とソフトパワー」
                前崎 信也(京都女子大学生活造形学科准教授)

コロナ禍が後押しして世界中の研究者が美術のコンテンツを探し始めた。世界で唯一のインターネット美術館といえば「Google Arts & Culture」だが、美術にとっても日本は特殊な国、と前崎准教授は語ります。  


世界中で知られる美術品は価値が下がらず効率の良い資産だそうですが、日本の美術品は世界で比較すると一桁も二桁も評価が低い、それは日本の美術品にはスタンダードがなく投資できない、というのです。俵屋宗達、尾形光琳などの風神雷神図も西欧人からするとコピーとしかみえない。日本の「うつし」の文化は、オリジナル至上主義の西欧人に理解してもらうのは大変難しいと言います。 


 しかし新石器時代にすでに釉薬を使いチャイナと親しまれていた中国の陶磁器に対して、日本は17世紀とアヘン戦争で混乱した19世紀の2回だけ超えることができた。日本の美術工芸をドイツのマイセンは逆コピー、そして1867年のパリ万博に初参加して以来、ウィーンやフィラデルフィア万博に多額の国費を投じて日本のソフトパワーを紹介、ジャポニズムとして西欧の美術に大きな影響を与えました。  


  時代の大転換期に遭遇した今、私たちは日本文化をワールドワイドに広めるためにどうしたらよいか、前崎准教授は日本文化の価値を理解してもらうには時間がかかるし知識が必要として、感性を重視した日本の美術教育からの転換を求めました。 文化的価値が求められる今、文化を伝えいかすために企業人の役割が大きくなりそうです。 


 この後の文化体験では、藤森照信さんの設計で知られる徳正寺の「矩庵」を見学した後、本堂で一茶庵宗家嫡承の佃梓央さん、そして前崎准教授も加わって、江戸末期から明治の初めに大流行した煎茶を通じて、約150年前の新しい時代をつくった先人たちの思いの一端に振れました。

 

 

第六期 第2回京都クオリア塾 第2部 令和2年7月18日の画像 1

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