京都クオリア塾/クオリア京都
第六期 第1回京都クオリア塾 第2部 令和2年6月20日
第1回
「ポストコロナの世界情勢と新たなイノベーションの創出」
コロナ禍でひと月遅れのスタートとなった第6期、変革の時代を私たちはどう生きるか、そんなテーマを持って塾生16人が集まり第1回が開かれました
第2部 「未来の産業創造とイノベーション戦略」
山口 栄一(京都大学産官学連携本部特任教授)
コロナ後の世界について学んだ後は、米中競争のはざまで勢いを失っている日本の産業をどうするか、イノベーションをどう起こすかがテーマです。
日本は中央研究所の終焉でイノベーション生態系が壊れ、科学と技術の同時危機に陥ったと指摘する山口教授、「イノベーションとは何か」「研究とは何か、開発とは何か」と次々に語りかけていきます。「いくら郵便馬車を連ねても、それによって決して鉄道を得ることはできない」というシュンペーターの言葉を引きながら、研究は「知の創造」であり、開発は「価値の創造」即ち価値の具現化である。イノベーションはこれまでの演繹でもなく帰納でもない、自由にモノを考える「創発」によってもたらされるとして、ノーベル物理学賞を受賞した赤崎、天野博士らによる青色LEDや山中博士のiPS細胞などを例に「創発」を育む土壌整備の重要さを語りかけます。
開発畑にいる塾生もおり、「創発を起こすためには遊び心と通訳をする人が必要」「企業内のパトロンをどう探すか」「事業開発本部との関係をどう持つか」などの意見が次々と出され、山口教授は「創発を育むにはビジネスモデルをつくること」「遊びの目利き能力が管理職に求められる」と指摘、イノベーションの創出に向けて挑戦しよう、と呼びかけました。
この後の懇親会では、コロナ治療薬として注目が集まっているアメリカのベンチャー、ギリアド・サイエンシズのレムデシビル、これはアメリカ政府がベンチャー育成のために設けたSBIRという制度から生まれたもので、日本でも2021年に新生SBIRとして国が取り組む。京都から挑戦しようと語りかけると、「創発のタネは、どんなところから生まれるか」という質問が相次ぎ、山口教授「それは違和感!」と一言。明日からの仕事に向けて忘れていた感覚、気づきを得た一日でした。