最終回は、1875(明治8)年創業の吉忠㈱の吉田忠嗣社長を迎え、「経営者から学ぶ~我社のターニングポイント」をテーマにお話をしていただきました。吉忠は創業者の「大衆とともに時の流れに従え」を貫き、戦前にいち早く株式会社化や社員持ち株制度を導入、そして服地製造にも乗り出します。1950(昭和25)年には吉忠マネキン㈱を設立、コンピューターを導入するなどして分社化経営を進めました。吉田社長はその4代目で、伝統と革新の対立構図ではなく、伝統の中のしなやかな革新に挑戦してこられました。モノを言わぬモノにモノを言わせるモノづくりをすすめるため、顧客主義、職人気質、創造気性の「3-CS」を経営ポリシーに事業を進め、ターニングポイントは一歩早くても二歩遅れたら意味を持たず、対応するには、人のまねをしない、を強調されました。また、世阿弥の「離見の見」を例に引きながら客観的にモノを見る大切さを語りながら、ロボット技術を応用した次代の動くマネキン製作にも挑戦していることを明らかにするとともに、女性美を追求し続けると語りました。歴史のあるオーナー企業が数多くある京都で、創業者精神を活かしたイノベーションをそれぞれの企業でどう進めるかなど活発な意見交換が行われ、食事をいただきながらの懇親会ではこの塾を通じて培った人間関係を大切したいという声が多く出されました。
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