クオリア塾活動報告/クオリア京都

 


 

 

第5回京都クオリア塾 / 平成28年8月27日



 

第5回は、正規非正規といった働き方や格差の問題がクローズアップされる中、労働経済学がご専門で、NHK Eテレの「オイコノミア」で又吉さんに分かり易く経済学を語っておられる大阪大学社会経済研究所の大竹文雄教授から「日本人の経済的価値観の形成と変化」をテーマに、スピーチをしていただきました。大竹教授は、まず所得のトップ1%について、アメリカでは1%の下限が35万ドルに対して、日本では年収1200万円以上、特に若年層の所得の拡大が顕著となっている。格差の解消には市場による自由競争により効率を高め、貧困問題はセーフティネットによる所得再分配で解決することが望ましい、と経済学では教えるが、日本では規制緩和によって格差が生まれており、その解消には行き過ぎた規制緩和をもとに戻すべきとしている。また「人生での成功を決めるのは、勤勉が重要か、それとも幸運やコネが重要か」という調査では、日本は勤勉よりも運やコネが大事と考える人が40%以上(2005年世界価値観調査)もいて、特に就職氷河期を体験した世代に顕著。小学校の校内に二宮尊徳像が設置され、勤勉が大切を教えた日本はどこへ行ってしまったのでしょうか。学校教育では全国共通の運動会や、平和教育など学習指導要領で記載されていないカリキュラムが存在し、これらを通じて経済や社会的な価値観に影響を与える互恵性や信頼といったソーシャルキャピタルが育まれた。東日本大震災の後、「絆」をキーワードに助け合い精神が高まったと言われる日本で、教育などを通じて、互恵性や信頼関係を育てることが重要と強調されました。この後、西村周三所長(前国立社会保障・人口問題研究所長)がファシリテーターとなって、宗教や企業のフィロソフィーといった日本的なるものを媒介にソーシャルキャピタルを高めることにより日本人の価値観をどう育てるかについて意見を交わしました。

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