第六期 第8回京都クオリア塾 令和3年3月27日
「科学と仏教 その共通項とは!?」
ニュートリノ研究を飛躍的に発展させノーベル賞は確実とされながら、がんで亡くなった戸塚洋二氏が「死を見つめた時に支えるものは何か?」と問われた佐々木教授が第8回の講師、世界の真理を探究する科学者だが、科学が老いや死を救うことができるのか、という問いであった。現代は、これまでの宗教がつくった世界観では支えられない。では宗教とは何か? 虚構を設定することで無数の見知らぬ人同士が力を合わせられることで、これは資本主義も共産主義も同じではないか。
釈迦は、諸行無常(この世は原因と結果の因果則により刻々と変化している)一切皆苦(人は平等であり等しく不幸)諸行無常(因果則によって離合集散する要素の集合体で「私」という不滅存在はない)、と教えている。超越者を認めず、因果の法則だけで世界を見ようとする釈迦の仏教の原理は科学と同じ、と語られます。
日本に伝えられた大乗仏教は仏の力を借りる救済の宗教だが、釈迦の仏教は「我」を捨てる方法は示されておらず、僧侶の教育システムである「サンガ」では客観的にモノをみる訓練が行われる。サンガは「自分のやりたいことをひたすらやり続けるための組織」であり、このための「出家」という発想が今こそ求められている。その後の塾生との意見交換では、一神教との違い、サンガの機能、働くとは、などを考えながら、カオス状態にある今こそ、「我」を捨て『場』を共有することにより見えてくるものがあり、多様化の時代に釈迦の仏教をいかそう、と結ばれました。
この後は一保堂での抹茶体験。会社員でもある茶人の中山福太朗さんが亭主を務める「時代に合った茶道のカタチを共有しませんか?」 堅苦しいイメージの強い抹茶ですが、語りあり質問ありのクオリア塾らしい茶会を愉しみました。