第五期 第8回京都クオリア塾 / 令和2年1月18日
地球上では戦争や大国間の派遣争いなどが続いていますが、2020年の最初は、もう少し広い視点で地球を、そして人間を捉えてみようと、宇宙物理学者の磯部市立芸大准教授を講師に迎えました。
磯部准教授、塾生の関心に応えて50年前の1969年人類が初めて月へ降り立って以降の宇宙開発の歴史を振り返った後、世界の宇宙産業は急速に伸びているのに対して日本の宇宙機器産業は縮小傾向にある。研究開発で始まった日本の宇宙政策は2008年制定の宇宙基本法でもその考えが踏襲される、しかし2015年の改定で、安全保障、宇宙分野での日米同盟重視に大きく転換した、として、学術研究と安全保障との関係について研究者側の動きを説明しながら、両者の関係はどうあったらよいのか、と問われました。
また宇宙移住計画が現実のものとなり、次々に火星への移住計画などが発表されている。では誰がそれを実現するのか、費用は、などと質問しながら宇宙がもたらすコスモポタリズム、そして移住による多様性について話されました。
その上で、京都学派を代表する2人のコメント、ひとりは梅棹忠夫の「目的的発想は自由度が高く、洋々たる可能性をはらんでいるとともに、一面大変恐ろしいところがある」、もうひとりは今西錦司の「人間の一生を考えたら、サイボーグでもなんでもいいから、もっと発展してほしいという気持ちになるね」を紹介した後、宇宙開発・安全保障と企業、多様性が抱える課題について塾生間で意見交換しました。