第四期 第7回京都クオリア塾 / 平成30年12月15日
第7回は宇宙物理学の研究者で、この春に京都大学から京都市立芸術大学に転籍した磯部洋明准教授を迎えました。
前回はAI、ロボット、そして今回は宇宙がテーマと、塾生はどのような展開になるのかと、興味津々です。
はやぶさや国際宇宙ステーション、そして宇宙衛星やGPSなど、私たちの暮らしに身近となった宇宙開発は、宇宙旅行という人類の夢から米ソの派遣争いを経て、今は「宇宙船地球号」、即ち小さくてはかない地球に生きている、を共有する時代となった。
最近は月旅行や宇宙への移住などがニュースとなるが、人類は宇宙の観察者ではなく当事者になる、を求められていると磯部准教授は語りかけます。
磯部准教授は宇宙人類学という新たな学問領域にも関わっており、東日本大震災と原発事故後の対応は科学者の信頼の低下を招いたとして、科学者と市民とがフラットに対話する“場”をつくるなどの試みを続けています。芸術分野でも社会の広範囲に影響を与えるために何ができるか、の問いかけが求められている。
科学者も芸術家も、社会にすぐに役立たなくても「何に価値を見出すのか」「どのような社会を創りたいのか」と、既存の価値を問い直すことにより新たな価値をつくる…、この価値を企業人とも共有できれば、と結びました。
午後は、アマチュア天文家の聖地といわれ日本で2番目に古い京都大学花山天文台が紹介されました。市民観察会や茶会、コンサートなどを通じて、市民との関係を深めている花山天文台、今存続の危機に直面しているとのことですが、磯部准教授が「知っていますか?」と問いかけたところ、全員が「知らない…」。
その活用法や企業支援などについて提案や意見が次々と出され、京都の財産を見直す機会となりました。