第四期 第5回京都クオリア塾 / 平成30年10月20日
2020年以降の日本と消費
袖川 芳之(京都学園大学教授)
第5回は、長年電通でマーケティング業務に携わり、研究者に転身された袖川教授が、2020年への期待と不安、そして生活と消費について各種データをもとに話されました。
2013年の東京招致決定で、東日本大震災のダメージから復興する意欲が高まるなど、日本人のマインドが一夜にして変わったが、築地市場移転や工事建設費の高騰などの問題対応に追われた。そのような中、2020年を構造的変化のきっかけとして捉えると、定年まで働けばそれなりに資産を築けたジャパニーズドリームが崩壊し、消費税導入、AI社会の到来などでお金と時間の概念が変わると指摘、人生100年時代に向け、仕事と自己投資で80歳まで働く、有形・無形資産のバランスをとりながらの人生設計が求められると語りかけました。
世界の都市ランキングで、東京はロンドン、ニューヨークに次いで第3位だが、オリンピック開催でランキングが上がる傾向があり、北は仙台、西は名古屋までの大東京圏への発展の可能性がある。グローバル経済とローカル経済を分離するのではなく、ローカルに目を向けながらグローバルを意識して取り組み、これまでの経済中心から幸福を尺度にした価値観へと変える方策の必要性を指摘されました。
そして職住近接、チャンスの感じられる街、住む人によるブランド化など、開発が進む渋谷の整備を例に、2020年を機に大きく変わろうとしている東京を紹介、では京都の可能性は何?と問いかけました。寺社などの観光地と回遊性、多様な仕事がある、大学の街、職住近接が可能など、京都の特性をあげながら、学生資産の活用、外国人との交流などを通じグローバル化と京都固有の文化の融合をどう進めるか、といった活発な話し合いが続きました。