第三期 第2回京都クオリア塾 / 平成29年5月20日
アメリカ、イギリス、EU、そして中国などの動きに目が離せられないこの頃ですが、第2回は国際政治学の第1人者、中西寛氏(京都大学公共政策大学院院長)をお迎えしました。
テーマは「どう変わる! 世界の中での日本を考える」。
前半は、「現代民主主義が抱える問題 『終われない』戦後秩序の苦しみ」と題して、イギリスにおけるEU離脱国民投票、アメリカ・フランスの大統領選挙の結果から、直面している先進国政治の地殻変動を解説、移民や中産階級の分解、新興メディアの台頭、既成政党の分極化といった共通の兆候を指摘されました。
そして、20世紀半ばから続いてきた戦後秩序が、グローバリゼ―ションやアメリカ中心の国際秩序の維持などで延命を図ってきたが、もう限界と悲鳴の声をあげた。さて新しい秩序づくりに向けてどう動き出すか、と語りかけました。
後半は「これからの日本の国力~経済・社会のあり方」をどう考えるか。長期の低成長、日米関係、中国・韓国との歴史問題など数多くの矛盾をかかえている日本だが、世界的な競争と共生が進む中、日本人としてのアイデンティティを持って広い視野に立っての活動が今こそ求められるとしました。そして西田幾多郎の「日本文化は…所謂形のない文化。だからこれまで色々の外国文化を採り入れてきた」などを例に引きながら、開国から150年という節目の年を迎え、世界の中の日本、という「視圏」の重要さを説かれました。
この後、ファシリテーターの山鹿久木(関西学院大学教授)とグローバル時代における価値をそれぞれがどう育んでいくか、といった内容で意見交換を行いました。